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丸木舟つくりプロジェクトに挑戦します!
- こんにちは!石垣島の平久保半島にある久宇良(くうら)集落で、伝統木造船サバニの造船業を営んでいます、吉田友厚です。
サバニという舟は皆さん聞いたことがありますか?サバニは、古くから沖縄の海を駆け巡っていた船のことで、名前の由来は諸説ありますが、「サバン二」鮫(サバ)を捕る舟(ンニ)から来たという説や、船の劣化を防ぐために鮫の油を船体に塗ったからという説もあります。 -
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- そして、そのサバニの原型となるのが丸木舟です。
一本の木をくりぬいて作る丸木舟は琉球王国時代も造られていましたが、現在ではほぼ見ることはありません。今回、私はこのプロジェクトで石垣島の琉球松を使用し、太古の舟を作る挑戦をしたいと思います。
プロジェクトと同時期に造船を開始し、完成は令和5年4月上旬を目指します。
製作の過程では子供も参加できるようにし、大人がまず挑戦する姿を見せることで、これからの将来を担う子どもたちが、何かに向かって挑戦することの大切さやもの作りのおもしろさ、島の文化や歴史について、改めて自分で考えるきっかけとなることを願っています。 -
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舟大工新城氏と出会って始まった、私の舟大工としての道
- 私は東京都出身で、17年前に家族と共に石垣島に移住してきました。移住後は転職が多く、没頭できて生計を立てられるような何かをずっと探していた時期があります。
移住してすぐの頃に、サバニ舟大工をしている新城康弘氏の本を読み、こんな人がいるのだと大きな衝撃を受けたことを覚えています。
そして時が過ぎ、偶然その頃新城氏を知っている人が周りに複数人いたこともあり、後継者を探しているという話を耳にしました。そして直接会いに行ったのが10年前のことです。
私の舟大工としての人生の始まりでした。 -
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氏から学んだ、見て覚え、失敗して覚え、主体的に向き合うことの大切さ
- 新城氏の工房を訪ねた時本を読んだ当時の衝撃が思い出され、「作りたいのか?」と聞かれた時に、舟大工になってみたいとその場で答える自分がいました。すぐに弟子入りを決めました。
「楽しみながら没頭できて生計を立てられるような何か」を、この時見つけることができました。
弟子入りする中で新城氏から教わったのは、サバニの工法だけでなく、私自身も生きるために大きな力となった自分で考え、知恵を絞るということ。
「一つのことに向きあう姿が大事で、見てたらわかるだろ。なりたいならなれるんだよ。」という新城氏のスタンスから、自分から得ようとする意欲がないと何事も身につかない。と気付かされました。
これに通ずることで、仕事が仕事を教える。と石垣の人は言います。
実際に見て、考え、行動し、失敗する経験が大切で、主体的に取り組むことで手応えも感じるのだと思います。
私の氏からの教えも、今回の丸木舟製作プロジェクトで伝えていきます。 -
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- 舟大工となってから一心不乱に技術を学び、このプロジェクトのための試作の丸木舟を入れると、今までに造船した舟は20艇(サバニ19艇、丸木舟1艇)になります。
私の仕事はサバニの造船業を軸としていますが、サバニに帆をつけて海遊する帆掛けサバニツアーを催行したりもしています。 -
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- みなさんにサバニを身近に感じてもらいツアー業者や愛好家が増え、サバニ自体が普及していくことを望んでいますが、私はやはり舟大工として、これからも沢山の舟を造っていきたいという思いがあります。
時代の変化とエンジン船の出現によりサバ二の生産量はへり、職人の数は徐々に減っていき、現在のサバニ職人は石垣島で私1人のみ。本島の糸満市や南城市、西表島を合わせても10名満たないほどです。
沖縄のサバニ文化を絶やさないためにも、できる限り舟大工でありつづけることが私の使命だと思っています。 -
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島文化、島の資源を大切にすること
- このプロジェクトに挑戦する上で、島と私達相互にとって良い影響があること、文化と資源を大切にすることが大事だと思っています。
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島文化を継承すること
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- 琉球王国時代に森林保護のため丸木舟の造船が禁止されてしまったあとは、一本の木からではなく、木を張り合わせてつくるサバニ舟が発達しました。このサバニがどう島文化に関わっていたのかご紹介します。
サバニは沖縄の人にとって、特に漁師にはなくてはならないものでした。木造船なので舟に水が入ったとしても沈まず、ひっくり返ってもまた戻りやすい構造です。
嵐にあったとしても、舟をひっくり返してその中に避難することができるので、漁師が一人でも安全に航海することができました。また、舟自体が浅く作られているので、サンゴ礁を守ることも考慮されていました。
郵便局員がサバニを使い、島から島への配達手段に使っていたことを写した古い写真も現存しています。ときには妊婦が出産のため島を移動する時に、間に合わずにサバニの上で出産することも。
食料の輸送貨物手段でも使われていたため、食べものを乗せ島に戻ってくるサバニは、幸せの象徴としても語られました。このようにサバニは、島の生活にはなくてはならない、島の歴史を語る上で外せない文化の一部でした。 -
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島の資源を活用すること
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- 今回プロジェクトでは一本の丸木から、丸木舟をつくります。
琉球王国時代には森林伐採が禁止されたこともあり、それが以後サバニの発展に繋がりましたが、現在の石垣島の林業の現状としては、伐採時期を過ぎてしまい大木になり過ぎた琉球松が数多くある状態です。
本来林業とは、植栽や間伐、収穫、活用といったサイクルが回ることで成り立ちます。伐採時期が過ぎたものは周囲の木々の成長を滞らせてしまうため、大木を伐採し活用していくことには意味があります。
プロジェクトのアイデアが浮かんだ時に、活用の機会がなく伐採されずに残ってしまった木をどうするかという島の林業の課題を知り、石垣島の山が育てた材を活用して造船し海へ出ることが、島の自然の魅力を伝えるだけでなく、それを支えてきた林業や職人たちへのリスペクトに繋がるのではと考えました。 -
- 実は、琉球松は板を合わせて作るサバニの造船には木の性質上、不向きです。
サバニは九州からの杉板の輸入で昔から発展してきました。ですが、丸木舟には大昔の人が使っていたように土地の材である琉球松を使用することができます。この一致も、今回のプロジェクトを後押ししてくれました。 -
クラウドファンディングのお礼の品について
- クラウドファンディング(crowdfunding)とは群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと思ってくれる人から資金を募るしくみです。
金額に応じてささやかながらお礼をご準備しました。 -
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- プロジェクト支援のお礼として、石垣島ならではのサバニツアーやシュノーケリングなどの体験型リターンなどをお選びいただけます。
サバニツアーは幅広い年代の方に人気で、「風の力で舟が進んでいるのを感じれて気持ちいい。水面を近くに感じられる。海に木造船が浮いているのが、昔にタイムスリップしたみたい。」というお声もいただいています。
風と海に身を任せ、自然の美しさを存分に感じることのできるサバニツアー。石垣島の透き通った青い海をサバニで漕ぎ出し、先人の歴史と風を感じながら冒険のようなワクワク感や自然のなかに身を置く心地よさをぜひ体感してほしいと思います。同日に実際の私の造船所見学や、丸木舟つくりで使う工具の紹介や実演も可能です。
その他に私が実際にこのプロジェクトを通して伝えたいことをお伝えできる講演会や、丸木舟の命名権なども用意しました。 -
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皆さまからの資金の使い道
- 皆さまから支援いただいた資金は、こちらのとおり大切に使わせていただきます。
・丸木舟づくり用の大木の購入費用
・プロジェクト活動における運営費用
・リターン品準備費用
丸木舟を造るプロジェクト自体、今回1艇完成させて終わるものでなく、2艇3艇と継続的に続けていくためには活動を知ってもらうこと、資金調達できることが大切です。
今後の活動の基盤創りとして今回のクラウドファンディングプロジェクトでは目標金額を100万円に設定します。 -
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最後に~子供がエネルギッシュに自由に生きる未来を目指して~
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みんなで取り組むプロジェクト
- 丸木舟プロジェクトの大人メンバーには、今後のプロジェクトへの継続的な協力も見込んで、技術育成も兼ねて取り組んでもらいます。子供はまずは定期的に見学を受け入れるところから始め、その中で興味のある子を探したり、子供でもできる作業だったりを検討していきたいと思っています。
大人だけ子供だけのプロジェクトではなく、昔の日本や沖縄で見れたような、仕事に取り組む大人の脇で道具で遊んでいる子供がいるような、ものやことに子供が身近に触れることができる機会を、少しでも作ってあげたいと思います。 - 子供の頃に刻まれた記憶は、とても鮮明に残ります。だからこそ、子供のうちにもの作りから関わり、更にその舟で海に出るというロマンと達成感のある一連の物語を、体験してほしいです。
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大人が何かを本気で楽しんでやっている姿、生き方を見せたい
- そして、その大人が楽しむ姿を見せること。それは舟大工となるきっかけになった、師匠である新城氏の本を始めて読んだ時に繋がります。
舟を作って暮らす。とてもシンプルなことだけれど、それで生活ができるんだ。という衝撃は今でも覚えています。
私の場合は舟大工として、大人として、本気で没頭できることを仕事にして楽しみ、生計を立ててちゃんと暮らせていますが、そのライフワークを一つのあり方として見せることができたら、島での可能性を再発見し、島外に出なくても石垣島の良さを見出しながら暮らしていく子供が増えてくれるかもしれないと、希望をもっています。
もっと広い見方で言えば、造船作業を通して初めての体験や困難な作業などに出くわしたときに、自分で考えて向き合って攻略していくことが大切で、積み重ねた経験が、人生を生き抜く力を育ててくれると信じています。
子どもたちの無限の可能性を信じているからこそ、このプロジェクトを通して考える力や主体性を育んであげられたら、これ以上嬉しいことはありません。
是非、温かいご支援を頂けましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
※使用写真は吉田サバニ造船で造る丸木舟とサバニの写真を合わせて使用しています -
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吉田サバニ造船の公式Youtubeチャンネル
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- 風の根プロジェクト始動! Vol.1の動画が完成しています。
今後も随時動画を追加していきますのでぜひチャンネル登録をお願いします!